近年、ミュージシャンのアートワークや俳優の雑誌グラビアなどにフィルム写真が使われることも増え、デジタルにはないノスタルジーな魅力が広まって来ているのを感じます。
ぼくは2年ほど前にフィルムカメラを買いましたが、そのときは何も分からず色々と調べたので、今回はフィルムカメラの始め方について書いていこうと思います。
この記事を読んでいただくと、フィルムカメラの種類や現像の仕方など、フィルムカメラの始め方が分かります。
これからフィルムカメラを始めようと考えている人の参考になればうれしいです。
Contents
そもそもフィルムカメラって?
フィルムカメラとは、ものすごく簡単に言うと、シャッターを切った瞬間に光を取り込み、その光をカメラ内のフィルムに焼き付けて記録するカメラです。
24枚撮りや36枚撮りのフィルムを買ってカメラにセットして使います。
もちろんデジタル一眼やスマホのように、撮ってすぐ写真を確認することは出来ず、基本的にはフィルムごとに決められた枚数を撮りきって現像して、初めて写真を見ることができます。
フィルムカメラの種類
主なフィルムカメラの種類は下記のとおりです。
- 使い捨てカメラ
- コンパクトカメラ
- レンズ交換式一眼レフカメラ
- 二眼レフカメラ
- インスタントカメラ
使い捨てカメラ
FUJIFILMの写ルンですなどに代表されるカメラの種類です。
フィルムを巻いてファインダーを覗き、構図を決めたらシャッターを押すだけ、というシンプルなカメラです。
オートフォーカスなので背景をボケさせたりはできませんが、写ルンですはフラッシュも付いているので、暗い場所でも撮影が可能です。
決まった枚数を撮り終わったらカメラ屋さんに現像に行き、カメラを本体ごと回収されるので使い捨てカメラと呼ばれます。
1,000円程度で買え、気軽にフィルム写真が撮れるので、フィルムカメラ世代ではない若年層にも人気です。
旅行などに一人一台ずつ持っていって撮りあったり、結婚式で各テーブルに一台渡して撮ってもらうなどして、後日現像して見るのも盛り上がりそうですよね。
安いので、そういったいろんな「企画」にも使えると思います。
コンパクトカメラ
手軽にフィルム写真を味わえるカメラで、中古価格も安価です。
特徴としては、レンズが35mmで決まっていてレンズ交換ができないこと。
オートフォーカスなので操作は簡単ですが、背景をボケさせたりができないこと、などが挙げられます。
また、コンパクトカメラの中には、ハーフサイズカメラという種類もあり、こちらは使用するフィルムの面積が半分なので、24枚撮りフィルムなら48枚というふうに、倍の枚数が撮影できるカメラです。
現像・プリント代は24枚と同じなので経済的です。
(プリントは1枚に半分サイズの写真が2枚印刷されます)
ここらへんは使い捨てカメラと同じですが、フィルムは好きな35mmフィルムが使えるので、いろんな雰囲気の写真を撮ることができます。
レンズ交換式一眼レフカメラ
単焦点レンズや、広角レンズ、ズームレンズなど、互換性があるレンズならどれでも付け替えて使えるカメラです。
少し専門的になってしまいますが、絞り(F値)、フォーカス(ピント)が操作でき、ズームレンズであれば被写体との距離、画角も変えられるので、本格的な写真が撮影可能です。
絞り(F値)を変えられるので、背景をボケさせることもでき、使うレンズによって撮影のバリエーションは無限に広がるので、写真撮影の醍醐味が味わえるカメラと言えます。
おそらく一番みなさんがイメージされるフィルムカメラは、このレンズ交換式一眼レフカメラではないでしょうか。
二眼レフカメラ
二眼レフカメラはレトロな見た目が人気のカメラです。
主に120フィルムという35mmフィルムよりも大きなサイズのフィルムを使用し、正方形の写真を撮ることができます。
一般的なカメラと違い、ファインダーを上から覗き込むタイプなので、ポートレートを撮るときなんかは、被写体からすると「カメラを向けられている感」が薄いので、被写体が身構えずに撮ることができると言われています。
インスタントカメラ
ポラロイドやチェキのように、撮ったその場でプリントされるタイプのカメラです。
どちらも商品名の知名度が高いので、商品名というよりも「ポラロイドカメラ」という風に、カメラの種類として認識している方も多いかもしれません。
撮ったその場でプリントできるので、マジックでコメントを書いたりして結婚式の二次会でよく使われたりしますよね。
フィルムの種類
次にフィルムカメラに入れる、フィルムの種類についてご紹介します。
主なフィルムは35mmフィルムと120フィルムという2つのサイズです。
35mmフィルムはコンパクトカメラやレンズ交換式一眼レフカメラに使うフィルムで、24枚撮り、36枚撮りが最も普及しています。
120フィルムは二眼レフカメラ(中判カメラ)で使います。
撮影可能枚数はカメラの機構によっても変わりますが8〜16枚と、35mmフィルムに比べて少ないです。
そしてさらに35mmフィルム、120フィルムそれぞれの中に、カラーネガフィルム、カラーポジフィルム、白黒フィルムの3種類が存在しています。
カラーネガフィルム
ネガとはポジティブ、ネガティブのネガティブから来ており、この場合、反転しているという意味です。
ネガフィルムを見たことがある方なら分かると思いますが、フィルムには色が反転して記録されています。
例えば、人を撮ると黒目が白く、白目が黒く記録されます。
(実際にはフィルムはセピアっぽい色なので、白と黒ではありませんが)
カラーポジフィルム(リバーサルフィルム)
カラーポジフィルム(リバーサルフィルム)は、ポジティブ、つまり色が反転せずに記録されるフィルムで、カラーネガフィルムに比べて非常に鮮やかな写真を撮ることができます。
ネガフィルムに比べて撮影が難しいので、初心者には不向きですが、フィルムカメラに慣れたら使ってみたいフィルムです。
こちらはプリントするのではなく、プロジェクターで映して使ったり、スキャナーで読み込み、データ化して使ったりします。
10年ほど前、ぼくがデザインプロダクションで働いているときに、広告素材として何度かポジフィルムを渡されたことがありましたが、今ではまず使われていないでしょう。
米津玄師さんのLemonのアートワークはKodakのポジフィルムですね。
白黒フィルム
白黒フィルムは名前のとおり、白黒(モノクロ)写真が撮れるフィルムです。
フィルム写真はカラーでも味がありますが、白黒フィルムだとさらにノスタルジックな写真になります。
ポートレートなんかを撮っても、すごくかっこよく仕上がります。
フィルムにはそれぞれISO感度というものがあり、ISO感度とシャッタースピード、絞りを撮影環境に応じて適切に組み合わせることで、うまく撮影ができます。
フィルムのISO感度やおすすめフィルムについては、下記の記事で紹介しているので、よかったら読んでみてください。
フィルムカメラの魅力
ではフィルムカメラの魅力っていったい何なのか?
ぼくが感じる魅力は…
- デジタルにはないエモい、味のある写真が撮れる
- アナログな機械感が楽しい
- かつてのプロ機が安価で買える
- 不便だからこそ「時間」が楽しみを増幅してくれる
といったところです。
デジタルにはないエモい、味のある写真が撮れる
おそらくフィルムカメラが好きな方の大半は、ぼくと同じで、ざらついた粒状感があって、色味も含めてノスタルジックなエモさに魅力を感じているのだと思います。
これは本当になんとも言えない魅力があります。
アナログな機械感が楽しい
フィルムカメラは1枚撮るごとに巻き上げレバーでフィルムを巻かなければいけないんですが、レバーを引いたときにカメラ内部でフィルムが回転している感触と音が気持ちいいんです。
実際に巻いてみないとわからない感覚かもしれませんが、アナログな機械を扱っている感じも楽しいです。
かつてのプロ機が安価で買える
下記記事にも書いていますが、ぼくはCanon New F-1を買いました。
Canon New F-1は1981年に発売され、当時の価格で30万円以上(本体+50mmレンズ)する、プロ用の高級一眼レフカメラで、名機と呼ばれています。
それをぼくは、4万5,000円で買いました。
状態も良かったので、普通に撮影できています。
レンズも同様で、当時であれば数万〜数十万円する高級レンズも今では中古で、当時の数分の一の価格で購入することができます。
不便だからこそ「時間」が楽しみを増幅してくれる
フィルムカメラは撮ってすぐ見ることができませんし、フィルムを撮り終わらないと現像できず、カメラ屋さんに持っていく手間も労力も掛かって不便です。
ですが、撮ってから現像があがってくるまでに時間がかかるからこそ、どんな風に撮れているかな?とワクワクが増幅します。
現像したものを見てみると、ピントが合っていなかったり、暗すぎたりするものもあったりしますが、それはそれでいいんです。
デジタルのように取り直しが効かないし、一枚一枚にフィルムコストがかかるからこそ、被写体をちゃんと選び、一枚一枚を大切に撮るようになります。
これもデジタルにはない魅力だとぼくは思います。
フィルムカメラはどこで買えるの?
フィルムカメラを買えるのは、
- 楽天やネットオークションサイト
- カメラのキタムラのネットショップ
- カメラのキタムラや町のカメラ屋さん(実店舗)
などがあります。
中古のフィルムカメラは何十年も昔の製品である場合が多いので、故障がないかなど、状態が気になりますよね。
なのでぼくとしては楽天やネットオークションで買うのはあまりおすすめしません。
カメラのキタムラのネットショップ
ネットで中古のフィルムカメラを買うなら、カメラのキタムラのネットショップはおすすめのひとつです。
理由としては、
- 有名大手の安心感
- 全国展開のネットワークを生かした在庫の豊富さ
- 中古の状態がAA〜B以上でランク分けされているのでわかりやすい
という点です。
誰もが知っているという有名大手の安心感。
そして、そのネットワークを生かした豊富な在庫数で、希望の機種が見つかる可能性も高いと思います。
中古の状態がわかりやすくランク付けされているので、それも安心できます。
フィルムカメラの購入を考えている方は、希望機種の相場感を知るためにも、一度カメラのキタムラのネットショップを覗いてみたら良いかもしれません。
カメラのキタムラや町のカメラ屋さん(実店舗)
もうひとつのおすすめは、実店舗のカメラのキタムラや、町のカメラ屋さんに行って、購入することです。
「ネットで買うのは不安」という方は、実店舗に行き、実物を見て、触らせてもらって検討するのがよいと思います。
最寄りで評判の良い町のカメラ屋さんをネットで探して、そこで買うのもおすすめです。
ぼくは実店舗のカメラのキタムラに行き、Canon New F-1が無かったので、カメラのゴゴー商会というお店に行って買いました。
福岡では有名なカメラ屋さんで、中古フィルムカメラの品揃えも豊富です。
Canon New F-1を買うまで、絞り(F値)やシャッタースピード、フィルムのISOといった撮影に必要な知識が全く無かったのですが、それを含め、カメラの使い方、フィルムの入れ方などもひと通り親切に教えてくれました。
使い方を教えてもらえるというのは、実店舗の大きなメリットだと思います。
フィルムはどこで買えるの?
フィルムはAmazonや楽天をはじめとしたネットショップ、カメラのキタムラ、町のカメラ屋さんで買うことが出来ます。
現像・プリントはどこですればいいの?
フィルムを撮り終わると、現像・プリントをします。
現像とは…
まだ画像が見えていない撮影後のフィルムを現像液につけて、画像を出現させること。
プリントとは…
現像したフィルムを紙に焼き付けること。紙焼き。
昔は現像とプリントはほぼセットでした。
今は、現像は必ず必要ですが、プリントはせずにCDにデータを入れてもらったり、スマホにデータを転送してもらうこともできます。
現像やプリントは、カメラのキタムラ(実店舗)や、一部の町のカメラ屋さんでできます。
町のカメラ屋さんは、カメラやフィルムの販売だけで、現像やプリントは受け付けていないというお店も多いです。
逆に現像・プリントを受け付けている町のカメラ屋さんは、フィルムを郵送したら現像・プリントして、送ってくれるサービスをしているお店も多いです。
一部をリストアップしておきます。
ひとつ注意が必要なのは、35mmのカラーネガフィルムであれば一般的なフィルムなのでどこでも現像できますが、それ以外のフィルムは外部の工場に送るため仕上がりまでに数週間掛かったり、価格が高かったり、そもそも現像を受け付けていなかったりということがあります。
一般的な現像・プリントの価格については下で説明します。
知っておくべきフィルムカメラの様々なコスト
フィルム写真は味わいがあって素敵ですが、デジタルカメラだったら必要のない、様々なコストも掛かります。
フィルム代(フジカラー PREMIUM 400 27枚撮り) | 1本 870円 |
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現像代(35mmカラーネガフィルム) | 1本 792円 |
プリント(27枚。1枚からプリント可能) | 27枚 1,080円 |
スマホ転送(カメラのキタムラ) | フィルム1本 880円 |
CDにデータ保存 | フィルム1本 550円 |
カメラ本体の乾電池(4LR44 6V) | 1本 136円 |
※価格は税込み。カメラのキタムラを利用した場合の価格です。※乾電池はカメラの種類によって異なります。
ランニングコストとして上記が掛かります。
プリント、スマホ転送、CDデータ化は、もちろんどれかひとつで大丈夫で、ぼくはいつもCDにしています。
フィルム写真の場合、撮れば撮るほどお金が掛かります。
フィルムカメラを始めて、たくさん撮るようになって、とにかくコストがかさむ…!という方は、フィルムスキャナーを買うという選択肢もあります。
現像したフィルムさえあれば自宅でデータ化ができるので、毎回お店で1本550円を払うことを考えると、たくさん撮る方だとお得になります。
フィルムカメラはこんな素敵な写真が撮れる!
長い記事になってしまいましたが、最後にインスタ上にアップされている素敵なフィルム写真を貼り付けておきます。
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フィルム写真は本当にいいものです。
写真に写っているのが知らない人、知らない景色だったとしても、なぜか郷愁を誘い、涙が出そうな感情になったりもします。
フィルムカメラを始めたいと思っている方は、ぜひ一歩踏み出してみてください。
きっと自分が撮った写真に心が動かされると思います!
それではまた、次の記事で。